大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)1399号 判決

被告人 斎藤実

〔抄 録〕

弁護人の論旨第二点について。

原判決が刑法第四五条を明示しなかつたことは所論のとおりである。しかし刑法総則の規定は結局適用していれば足りるのであつて、判文に必ず明示しなければならないものではないことは大審院判例(大正一四年(れ)第三七四号、同年五月二三日刑事第三部判決、刑事判例集第四巻三二四頁、昭和二年(れ)第一三〇号、同年五月四日刑事第三部判決参照)の度々示すところであつて、当裁判所もその見解を相当と認める。ところで刑法第四五条は同法総則規定であるところ、原判決は被告人の原判示罪は併合罪である旨判示しているのであるから、結局刑法第四五条前段を適用しているのであつて、ただ同法条を明記しなかつたにすぎないものである。

原判決は所論のように法令の適用を誤つた違法のものとは認められない。

次に原判決は原判示三個の罪のうち最も重いと認めたものを摘示してはいないけれども、刑法第四七条、第一〇条を適用する旨判示しているのであるから、事の性質上当然原判示一の罪を犯情最も重いものと認めこの罪の刑に併合罪の加重をした刑期範囲内で被告人を懲役一年に処したものと認めるのを相当とする。

原判決には所論のような法令違反の存するものではない。論旨は理由がない。

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